私の実家は注文住宅です。いわゆるローコスト住宅でした。
私が小学6年生の時に、お父さんの夢「家を建てること」が叶い、新しい家に引っ越すことになりました。
家族が多く部屋割りや収納スペースにこだわりがあり、注文住宅を希望したそうです。
建て始めるまでにも何度も担当していただくところへ通い、たくさんお話をして、やっとという感じで工事が始まりました。
建てている最中も何度かお邪魔して中を見させていただいたのですが、途中段階ではなかなか想像も膨らまず、内装が完成したところでようやく広いということがわかりました。
できたばかりの時は綺麗すぎて、家族全員が整理整頓上手になったのではないかと思うくらい物がありませんでした。
引っ越しを終えて物が揃うとやっと部屋感がでました。
初めての引っ越し、初めての新居、初めての空間に慣れるまでの何ヶ月間はとても気持ちが良かった記憶があります。
ただ一つ問題がありました。
それは私の部屋の入口の扉です。
もちろん開け閉めは可能なのですが、留め具が使えない位置にあったんです。
隣にあった別の部屋は同じ大きさの部屋ですが入口の形が違って問題なかったのですが、その部屋だけが不自然にも不具合がありました。
推測ですが、設計ミスではないかと思います。
その1角分部屋が広くなってはいるのですが、直角になった部分に留め具が埋まっている状態で機能していませんでした。
絶対にないといけない物ではなかったので特に対応はしませんでしたが、住み始めて何ヶ月か経って気がついた時からずっとミスだなと思って住んでいました。
それから何年か後、私は注文住宅を扱う会社にインターンシップに行くことになりました。
建設現場を見た経験から、住宅に興味を持ったからです。
実際どういった作業が行われているのか、どういった流れで家ができていくのか、縁の下の力持ちのような仕事がしてみたくて参加しました。
設計やそれを確認する人、それをパソコンで処理する人、現場に指示する人、全部を管理する人など様々な人がいて、一つの家を建てるのに大勢の人の力が使われていることに気づかされました。
そうなってしまうとあのミスってとも思ったのですが、家が出来上がっただけでも素晴らしいことなんだと感じました。
ですから、私にとって注文住宅とは、温かい空間を与えてくれる存在です。