家が欲しい!
そう思った時、何からするべきなのでしょうか?
住宅購入は人生に大きな影響を与えることになります。お金の問題はもちろん、日々の生活もガラリと変わります。人生を左右する一大イベントです。失敗はできませんし、やり直しも難しいです。
マイホームを購入するとなると、それが中古にしろ新築にしろ、ゴールまでにやらなければならないことは山積みです。一体何から始めれば後悔しない家づくりができるのでしょうか。
これからマイホームについて知ろうと思っている人はもちろん、すでに家づくりに踏み出した人も、一度マイホームについてよく考えてみてはどうでしょうか?
事前準備が重要
家を一軒買うというのは大変な労力のかかるものです。
建売住宅でも注文住宅でも、中古の家を買う場合でも、購入を決心してから実際に新居で生活を始めるまでには果てしないほどのプロセスがあります。
良い物件を探し、候補を絞り、ローンについて考え、転居の準備を整えて・・・
高価な買い物であるのは間違いありませんが、必要な労力もかなりのものになります。やり直ししたくてもそう簡単にできるものではありません。相当な大金持ちでもない限り、何度も家を買うのは無理です。
一度きりの挑戦で失敗しないためには、念入りな準備がかかせません。
さて、失敗しないマイホーム購入のためには、一体何から手をつければ良いのでしょうか。
よくあるスタートとしては、家づくりに関する雑誌や本を読む、住宅展示場に行く、といったものがあります。いきなり不動産屋行くという行動力のある人もいます。
しかし、いきなり不動産屋や住宅展示場に行ったり、住宅会社の主催する見学会に参加したりするのはあまりおすすめしません。
マイホームに関する具体的なイメージがないままそうした場に行ってしまうと、偏った情報や意見に惑わされやすくなってしまいます。中には訪れた人に対してしつこい営業をする業者もいます。悪質な営業に嫌気が差して、家づくりそのものにマイナスイメージを持ってしまう人もいます。
他人の意見やしつこい営業に惑わされないようにするためには、情報収集と住宅に関する基本的な知識が必要です。
最初は大雑把でもかまいません。どんなタイプの家があるのか、成功談・失敗談としてよく上がる例にはどのようなものがあるかなど、住宅会社にアプローチをかける前に基礎知識を仕入れておきましょう。
これからの生活をイメージする
マイホーム購入の第一歩は、新しい家での生活を具体的にイメージすることです。
不動産やハウスメーカーの住宅広告には、収納がふんだんにあって便利な家だとか、広々とした明るいリビングだとか、機能的かつおしゃれなキッチンだとか、いかにも「良さそう」なことがかかれています。
どれもこれも魅力的に見えてしまいますが、よく考えてみてください。それらはあなたにとって本当に必要な「良い」ものなのでしょうか?
雑誌や書籍などに載っている間取りの実例やサンプル図面も同様です。なんとなく良さそうに見えますが、図面から分かることというのは少ないものです。実際の家は立体で、しかも自分よりもずっと大きな建築物です。素人が図面から家の姿を正しく想像するのは難しいです。図面が良さそうだからと言って、実際の家が自分にとって良いものかどうかはやはり分かりません。
自分にとって、家族にとって良い家にするために必要なことは、雑誌や広告を見ることではなく、新しい家で実現したい生活について具体的に想像することです。
朝起きて洗面所で顔を洗い、ダイニングで朝食を取り、出かけていくまでの流れ。夕方家に帰り、夕食を食べ、風呂に入り、就寝するまでの流れ。あるいは休日の朝、リビングや庭で行う家族の団らん。
そうした生活に必要なものを考えていくことで、自然とマイホームに求めることが分かります。
間取りや家具・家電のレイアウト、設備に必要な機能などが分かれば、漠然としていたマイホームの形が明らかになり、その後の家づくりがスムーズに進められるようになります。
●住宅の専門家になる必要はない
マイホームを購入するにあたって、基礎知識を得ておく必要はありますが、勉強をたくさんすれば住宅購入で失敗しないとは限りません。
確かに正しい選択をするためには情報収集はかかせません。
しかし、最低限必要な知識は理想の生活を考えていく中である程度身についていきます。必要に応じて勉強していくのは良いことですが、そればかりに時間をかけるのは時間がもったいないです。
理想の生活スタイルを理想の住宅に落とし込む時には、専門家の力を借りましょう。顧客の要望をヒアリングし、それを形にするのは住宅会社や不動産屋の仕事です。どのみちプランを決めたり設計したりする段階になれば専門家に頼るほかないのですから、活用できるものは早い段階から使うのが近道です。
私達が大切にするべきなのは、要望をキチンと伝えられるように自分の考えを準備しておくことです。
知識も情報収集も大切ですが、専門家を目指しているわけではありません。あくまで良い住まいを手に入れることが目的ということを忘れないようにしましょう。
お金について考える
具体的な家のイメージを考えるのと同じぐらい大切なのが、お金について考えることです。
工夫次第で対応できる部分もなくはないですが、お金がなければどうにもならない部分のほうが多いです。
必要な金額は、どんな家を買うかによります。
中古の一軒家と建売住宅、注文住宅では全く必要な金額が違います。
●住宅ローンの返済期間を考える
家にどれだけお金を使えるかは、ローンの返済期間で決まります。
毎月ローンの返済にあてられる金額は収入によりますから、自分の意志で決められるものではありません。そのため、ローンの期間が長ければ借入額は大きく、短ければ小さくなります。
返済期間は最長で定年を迎えるまでとなるのが普通です。60歳で定年の場合、30歳の頃にローンを組まなければ30年のローンを組むのは難しくなります。
一応、親子でローンを引き継ぐ親子ローンという50年のローンを組めるものがありますが、デメリットも多いため推奨されることは多くありません。親子ローンを組むと、ローンの返済が終わる頃には家が古くなっています。返済を終える頃には資産価値が大幅に下がっていたり、大規模な修繕で新たにお金がかかってしまったりするかもしれないということには気をつけておきましょう。
ローンの期間は可能な範囲で長めに設定するのがおすすめです。
借入金額を大きくしやすいだけでなく、毎月の返済額を小さくしやすいためです。
住宅ローンの返済は毎月の出費。少なく押さえればやりくりも楽になりますし、万が一の事態に対応できる余裕も生まれます。
また、住宅ローンとセットで加入することになる団体信用生命保険を利用できるのもメリットです。団体信用生命保険は病気や死亡などで住宅ローンの返済が困難になった時のための保険です。ローンを組むついでに生命保険に加入できるのはお得です。
住宅ローンの金利の低さも重要です。住宅ローンは他の借金に比べて非常に金利が低いです。返済期間が伸びれば利息も増えますが、無理に返済期間を短縮するよりも浮いたお金を投資や運用に回したほうがプラスになるケースも多いのです。住宅ローンには節税効果もあるため、総合的な視点で考えるようにしましょう。
●借入額を決める
住宅ローン期間が決まれば、次に月の返済額について考えて見ましょう。
返済額が少ないに越したことはありませんが、予算が少なすぎると小さい家や安っぽい家になってしまいます。適切な予算を設定しなければなりません。
住宅ローンの借入額は、期間と月の返済額で決まります。毎月いくら払うかは、返済能力に無理のない範囲で設定しましょう。返済額について考える際は、これから完済までの数十年の間、どんなイベントがあり、いつどれだけの出費が予想されるかも同時に考えましょう。子どもがいるなら教育費や大学の費用、自家用車があるなら車の買い替えタイミングについても考慮します。
毎月の返済額と期間をかけ合わせれば、借入額が決まります。そしてそれよりも少し小さい金額が家の予算になります。いろいろ家について考えていくうちに予算は自然と膨らんでいきます。最初はかなり余裕を持った予算設定にしておいたほうが無難です。それに、転居には住宅購入費以外にもいろいろとお金がかかります。
●専門家の意見も聞く
住宅ローンについて考える際は、ぜひ専門家にも相談しましょう。
いちばん身近な相談先は、住宅会社や不動産業者です。ローンが組めなければ家は売れませんから、住宅ローンのサポートを行っているところが多いです。ただ、特定の銀行とのつながりが強いケースも多いため、公平な意見が欲しいという場合はファイナンシャルプランナーへの相談を考えるのも良いでしょう。
土地について考える
家を建てるには土地が必要です。
建て替えや相続などですでに所有している人は建物のことだけ考えればよいのですが、家だけでなく土地も準備しなければならないのはなかなか面倒です。
立地の良さは生活に、費用は予算に大きく関わります。家を買うなら当然土地についても考えなければなりません。
●土地付き物件か土地なし物件か
まず、中古住宅や建売住宅を購入するのか、土地を別に準備する必要がある注文住宅にするのか決める必要があります。
建売住宅は土地と建物をセットで購入できるのが強みです。土地単体を探すよりも探しやすく、総額も把握しやすいです。一方で、建物のコンディションが分かりにくいという問題もあります。
特に建売住宅は建築途中を確認できません。中には質の悪い工事を行っている業者も紛れているため、購入時は用心しましょう。建築途中の写真を見せてもらったり、第三者のチェックをいれたりなどの対策をしておくと安心です。
一方注文住宅は家ができていく過程を自分でもチェックできるというメリットがあるものの、建売住宅よりも高価になりやすいという問題があります。土地を別に探さなければならないため、土地と建物それぞれにどのぐらいの予算を割くかの配分も難しいです。
●理想の家が建てられる土地を探す
土地を建物とは別に購入する場合、理想の生活を実現できる家が建てられるような土地を探さなくてはなりません。
立地というと駅など交通機関からの距離ばかり考えてしまいやすいですが、子どもがいるなら保育園や学校までの距離も大切になります。親の介護を行う場合は、実家までのアクセスや病院までの距離も考えましょう。
土地の周囲の環境や、土地そのものの状況も重要です。
明るいリビングを作りたければ南側に十分な日当たりが必要です。静かに過ごすことを望んでいるなら騒音についても考慮しましょう。隣の家の窓の位置や、道路からの視線も重要なポイントです。
その土地が理想の家を建てるのに適しているかどうかは、どんな家を建てるかが決まっていなければ分かりません。そのためには、専門的な知識を持った住宅のプロの助けが必要です。
素人目にはよくなさそうに見える土地でも、工夫次第で住みよい場所になることもあります。反対に、一見問題なさそうな土地でも、実は素人では気がつけない問題が隠れているかもしれません。
土地の形状が悪く、建物が作りにくかったり、高低差があるために整形が必要になったりすれば、余計に費用がかかります。また、農地を転用した宅地の場合、水溶やガス管が通っておらず、工事に余計なコストがかかるケースもあるため注意が必要です。
住宅会社を決める前に土地を探そうとする人も多いのですが、より良い家を建てるなら、ハウスメーカーや工務店と協力して土地を探すことをおすすめします。
マイホームを買おうと思った時にやるべきこと
家を買いそこに移り住むまでにやらなければならないことはたくさんあります。何からやればいいか迷ってしまう人も多いです。
しかし、難しそうに見える住宅購入ですが、最初に方針をしっかり決めておけば、スムーズに進められるようになります。
大切なのは、新しい家でどんな生活をしたいのかよくイメージすることと、どれだけお金を準備できるかということです。この2つが明らかになれば、次のステップに進むのも楽になりますし、今後やらなければならないことも自然と分かるようになります。