10年ほど前に家を建てました。前の家があまりにもボロで、天井ではねずみが駆けずり回っていている家だったため、そうでない家ならどんな風でも文句はない、というつもりでした。
そんな風であったので、建てた当初は歓びに満ち溢れていた私だったのに、「家は3回建てないと満足しない」という言葉を証明するかのように、住み慣れていくに従っていろいろと問題が発生していきました。
まず、最初から主人任せだったのがいけなかったのでしょう。
主人は建築会社に勤めているため、私より知識はあるから下手に素人考えを差し込まないほうがよいのだと思っていたのです。
けれど、実際に「生活」のきりもりをする女性目線で家を造っていくことが遥かに大事だと知った時には、後の祭りでした。
家事も掃除もしない、夫の目線で造られている我が家は、何かにつけ、私の不満を生む家となったのです。
部屋の間取りについても、我が家は6人家族で娘が4人いますが、その4人の部屋を各自にあてるのではなく、2部屋ずつとることになっていました。
最初はそのほうがよいと私も思っていたことと、後で分断される作りになっているとばかり信じていた私は、そうできていないことを知って愕然としました。
それぞれ成長していくに従って、彼氏を連れて来たり、年下の子たちが集ったり、何かとお互いに不便が生じるものです。
それは私が女性だから重々承知です。男の人の思考の至らなさに、ただただ、悔やんだのでした。
後で生じた問題の大きなことが、浴槽など、水回りの隅の剥がれです。
何十年も住んで傷んでいくならともかく、いろいろなところをケチってしまったのだろうかと思うほど、どんどん古い印象になっていきました。
一方で、主人の趣味は「クワガタ」です。
そのクワガタ部屋が何しろ充実していることで頭にきてしまうのでした。
それが職業でもないのに、その部屋は冷暖房完備、棚が専用に備え付けられている。喚起といい、部屋の場所も一番よいのではないか、という場所にあるのです。
最もがっかりしたのは、客間の隣くらいにトイレがあることでした。これではお客さんがトイレに行くには居心地悪いです。
トイレの水を流す音など、やっぱり聞こえないほうがいいし。
そのことは、招かれる側として見たらわかるのに、と首をひねりました。
また、家人がトイレに行きたくでも、お客さんがいる部屋の横で用は足しにくいのではないだろうか、と。
寝室だけは主人の希望でダブルベッドの置ける一番大きな作りになっているのですが、それも住む側のマナーがあったなら、一角に据え付けられた机と椅子だけでも私もくつろぎの場所となるのですが、何かと寝室でまったり過ごしたがる主人は、テレビも間食も寝室が殆どなので、私には、苦痛を生む場所でしかなくなってしまうのでした。
そんなことを考えると、家がどんなに立派で、何もかも完璧に揃っていたとしても、「住む人達」の性質なり、生活スタイルなりを設計の中に組み込んでいかないと、様々問題点が見つかるように思っています。