●本体価格とは
「本体価格」はハウスメーカーなどが住宅の価格の目安を表すのによく用いられます。設計事務所などではあまり使われる事はありません。
「坪単価(ただし本体価格)」のような形で、広告などでよく使われています。
●本体価格のみでは家は建たない
「坪単価◯万円(ただし本体価格)」と書かれているのをみると、ついついその坪単価と想定している面積を掛け合わせたものを予算とくらべてしまいがちです。
しかし、本体価格だけでは家は建ちません。
「本体価格」という名前の通り、これは住宅の建物部分だけの価格です。水道や電気の工事、塀などの外構工事など、建物以外の部分については含まれていません。
本体価格と注釈のついている坪単価は、総費用を面積で割ったものではなく、建物価格のみを面積で割ったものになります。
実際にかかる費用としては、本体価格の2割から3割増し程度の費用がかかると考えておきましょう。
●本体価格の活用法
実際に必要になる金額とは異なる金額が、住宅の参考価格として広告などに記されているのは、比較の際に便利だからです。
安く見せて消費者を騙そうとしている訳ではありません。
建物以外の部分については、土地の状況や施主の好みなどによって要不要が変わってくるため、価格の変動が大きいです。条件がバラバラの状態では、価格の比較は難しくなります。
しかし建物だけの値段を表した「本体価格」であればメーカー間の比較が容易になります。本体価格はそれぞれのハウスメーカーの標準仕様の住宅をベースに決まっているため、値段を比べるのにはぴったりです。
●本体価格以外にかかる費用
比較には便利だと言っても、予算を考える上では総費用がいくらになるかは重要です。建物の工事以外にどんな工事が必要になるのか確認していきましょう。
・インフラに関する工事
屋外の電気・給排水の工事や、ガス管の工事は本体価格に含まれません。
生活のためには絶対に必要になる工事ですが、道路との距離や現状にも大きく費用が左右されるためです。
・敷地の状況によって変わるもの
特殊な基礎・杭工事や、特殊な仮設・運搬が必要になる場合は、本体価格と別に費用がかかります。
本体価格にも基礎や杭、運搬などに関わる費用は含まれていますが、これはあくまでも標準的な土地の状況にあわせたものです。
地盤が弱く特別な基礎や長い杭が必要になればそれだけコストがかかります。また、敷地の前の道路が狭かったり、敷地自体が狭かったりする場合は、大きな車や重機が入りません。普通の工事よりも手間がかかるため、やはり追加で費用が生じます。
・手続き等の費用
設計料や地盤の調査・敷地の測量・確認申請の費用などは、敷地や建物の大きさによって変わります。
地盤の調査は建物の構造によって方法を変える必要があるため、本体価格には含まれません。
・オプション工事
標準仕様では施主の要望に合わない部分がある場合、オプション工事という形で要望に応じることになります。オプションによる対応が多いとそれだけ費用が膨らむことになります。
・ハウスメーカー以外に依頼可能な工事
エアコンなどの空調の工事や、庭や塀・門扉などの外構工事、カーテン・ブラインドの工事は本体価格に含まれません。廊下やトイレなど共用部分以外の居室の照明も同様です。
これらの工事は個人で他の業者に依頼することが可能です。好みの問題で特定の業者を利用したいというケースも考えられます。
注文住宅購入に必要となる費用は、本体価格に含まれるもの以外に幾つもあります。本体価格以外の部分が膨らんでしまうと、せっかく本体価格で比べていたのにあまり参考にならなかったという事態を招きかねません。標準の仕様がどこまで要望に近いかどうかをよく考えてハウスメーカーを選ぶようにしましょう。