2000万円以内に収めたい時のポイントは?
注文住宅を予算内で建てる時に気をつけるべきポイントは次の3つ。
1.無理のない住宅ローンの返済額を知る
2.家を建てる時にどんな費用が発生するか把握する
3.コストパフォーマンスの良い家にするコツを知る
この3点さえ押さえておけば、限られた予算の中でも満足のできるマイホームを建てることが可能です。
では、それぞれのポイントについて詳しくチェックしていきましょう。
住宅ローンについて考える
住宅の予算について考えるためには、まずそもそもの予算の設定が適切であるかどうか確認しておく必要があります。
なんとなくこのぐらいの金額にしたい、というような曖昧な決め方はNGです。
ともかく安ければ良いという考え方も危険です。住宅の快適さやクオリティは基本的に家の価格に比例しますし、下手に一時的な安さだけ追求すると、その後のランニングコストが高くついてしまう可能性もあります。
予想よりも返済額が大きく毎月のローン返済が重い負担になってしまったり、反対にもっと良い家が建てられたと後から気がついたりしてしまっては、せっかくのマイホームも後悔が残るものになってしまいます。
まずはこの2000万円という金額が、自分にとって無理なく返済できるものかどうかを考えてみましょう。
年収と住宅ローン借入額
一般的に、住宅ローンの借入額は年収の5倍から6倍程度が目安と言われています。
2000万円のローンを組む場合、5倍なら年収4000万円、6倍なら333万円が目安になります。
返済負担を考えると、年収の5倍に留めておいた方が安心です。
住宅ローン以外に、貯金から自己資金を用意できる場合は、もう少し返済の負担が少なくなります。
35年ローンで2000万円借りた時の返済額は?
住宅ローンの負担を考える上で年収倍率よりも大切なのが毎月の返済額です。
年収倍率はあくまでも一般論で、本当に年収の5倍までなら負担が重くないとは限りません。
毎月の生活費は人によって違います。正しい負担を知るためには、月ベースで考えてみることが大切です。
2000万円を35年ローン、ボーナス払いで支払った場合の返済額は次のようになります。
変動金利(年0.5%):月々51,917円(総返済額21,804,939円)
固定金利(年1.5%):月々61,236円(総返済額25,719,333円)
ちょうどいい返済額の考え方
住宅ローンの返済は何十年もの間、毎月続きます。
シミュレーションして分かった金額に無理がないかよく考えてみてください。
月々の住宅ローン返済額について、家賃と同じぐらいが良いと説明されたり、家賃と同じ金額を払うだけど最終的に家が手に入ってお得などと言われたりすることがあります。
しかし、家賃を基準に月々の返済額を考えてしまうのはおすすめしません。
家を持つということは、家の管理も自分でするということです。
賃貸と違い、修繕や設備の交換にかかる費用は自分で出さなくてはなりません。
給湯設備は10年で交換の時期が来ますし、外壁や屋根についても数十年ごとに塗り替えや葺き替えが必要になります。
固定資産税などの税金も発生します。
こうした維持管理にかかる費用は、1ヶ月に換算するとだいたい2万円から3万円必要になります。
毎月の負担について考える際には、住宅ローンの返済に加え、維持管理費として3万円ほどの積立を前提にしておくようにしましょう。
自己資金はどのぐらい必要か
住宅ローンの借入額についてだけでなく、自己資金(頭金)についても考えておく必要があります。
理想とされるのは、総費用の2割を自己資金でまかなうこと。総予算が2000万円の場合、400万円の自己資金が必要になります。
最近では自己資金なしのフルローンも組みやすくなっていますが、借入額が大きくなれば返済の負担もリスクも増します。
また、自己資金の割合によって金利が変わる住宅ローンもあります。最低でも1割以上の自己資金は欲しいです。
十分な貯金がない場合、住宅購入を数年遅らせることも考えましょう。
住宅購入は早めが良いと言われることが多いですが、無理をしてまで急ぐ必要はありません。十分な貯金を用意してからでも遅くありません。
家を買う時に発生する諸費用について
住宅ローンの借入額や自己資金から総予算が分かったら、今度は家を建てる際にどんな出費があるかを確認しましょう。
残念ながら、予算の全てを建物に費やすことはできません。
土地の有無
予算配分を最も左右するのが土地の有無です。地域や広さによって違いますが、土地購入には建物をつくるのと同ぐらいお金がかかります。
当然、同じ予算2000万円でも、土地のある人とそうでない人とでは住宅に使える予算が全く異なります。
2割が諸費用
家を買うと、建物以外にも、外構工事費や登記費用、住宅ローンの手続きのための費用など様々な出費があります。
こうした建物価格以外の諸費用は、一般的に総費用のうち2割を占めると言われています。
2000万円の住宅なら400万円が諸費用となりますから、実際に建物に使える予算は最大でも1600万円ということになります。
この諸費用について忘れたまま建物の仕様を決めてしまうと、予算を大きくオーバーしてしまったり、グレードを大幅に下げざるを得なくなったりと、大変な苦労をすることになります。
建物購入にかかる諸費用
・下水道工事費
金額は水道管の距離に応じて変動。
・ガス工事費
ガスの引き込み工事にかかる費用。都市ガスの場合のみ。
・外構工事費
庭やカーポート、塀、フェンスなどをつくる工事。
・火災保険料
金額は地域や建物によって異なります。住宅ローンを組むためには必須。
土地購入にかかる諸費用
・土地仲介手数料
土地代の3%+6万円+消費税
・印紙代
印紙代は契約金額によって変わりますが、一般的な土地の場合は2万円です。
・固定資産税
固定資産税はその年の1月1日に所有していた人に請求されるため、年の途中で購入した場合は、残りの日数分の固定資産税を前所有者に支払います。
・登記費用
所有権移転登記にかかる費用。住宅ローンで土地を購入する場合は抵当権登記費用もかかります。
住宅ローンを組む際の諸費用
・手数料
・保証料
手数料や保証料は金融機関によって大きな差があります。手数料が極端に低い銀行は代わりに保証料が高く設定されているケースが多いです。
・印紙代
金額は契約金額に応じて変動します。
・抵当権登記費用
土地や建物をローンの担保とする手続きにかかる費用です。
その他の諸費用
・地鎮祭費用
最近は地鎮祭や上棟式などを行わないケースも増えています
・引っ越し代
建て替えの場合は往復必要になります
引っ越し時に発生する家具家電の購入費・処分費用も考慮しておくとなお良いです。
・仮住まい家賃
建て替えの場合はその間の住まいが必要になります。
コストパフォーマンスの良い家にするためには?
家に使える予算が決まったら、いよいよ住宅そのものについて考えていきましょう。
せっかく家を建てるなら、予算の範囲内で最大限コストパフォーマンスの良い家にしたいところ。
一体どんなところに気をつければ、無駄な出費をせずに済むのでしょうか?
大手ハウスメーカーは避ける
誰でも知っているような大手ハウスメーカーの住宅は高くなりやすいです。
安く家を建てるなら、中小規模のハウスメーカーや、地元の工務店に依頼しましょう。
誰もが知っているということは、それだけ広告宣伝費にお金をかけているということ。
大手ハウスメーカーの場合、住宅価格のうち10%を広告宣伝費や研究開発費が占めています。
2000万円の住宅の場合、200万円も宣伝や研究に使われていることになります。
宣伝や研究にあまりお金をかけていない業者を選べば、同じ金額でもより家そのものにお金を使うことができます。ハウスメーカーよりも工務店の方が安く家を建てられると言われるのもこのためです。
グレードを下げ、仕様を極限までシンプルにすれば、大手ハウスメーカーでも節約して建てることは不可能ではありません。大手の安心感や技術の高さ、手厚いサポートは魅力的ではあります。ただし、注文住宅らしい自由度は皆無になります。
こだわるポイントを絞る
注文住宅のメリットは、自分でお金をかける部分を決められるということです。
メリハリをしっかりつければ、少ない予算でも部分的に高グレードの設備を採用したり、こだわりのデザインにしたりすることも可能になります。
どこにお金をかけ、どこを節約するのか、家族でよく話し合ってこだわるポイントを決めてください。
家の形をシンプルにする
家の中身への影響を少なくしつつコストカットを狙うなら、家の外観に工夫するのがおすすめです。
凹凸の多い家は材料費も工事にかかる手間も増えるため、同じ床面積のシンプルな形状の家よりもお金がかかります。
上から見た時の家の形も、横から見た時の形も、正方形に近い方がコストパフォーマンスは良くなります。
一階と二階の面積が違う家や平屋の家よりも、同じ床面積の総二階の家がおすすめです。基礎や屋根の面積が少なくなるためです。
複数社の見積もりを比べる
適切な価格で家を建てるためには、複数社の見積もりを比べることがかかせません。
注文住宅はオーダーメイドの商品。
定価はありません。
要望や間取りはもちろん、土地の形状や状況によって住宅価格は大きく変わります。
同じように見える家でも、他の家の見積もりはそれほど参考になりません。
これから建てる家の適正価格や相場は、実際に見積もりをとってみなければ分かりません。
一社だけではそれが高いのか安いのか分かりませんから、当然複数を比べる必要があります。
一つ注意しておいて欲しいのが、見積もりの価格だけで判断しないことです。最も安い見積もりを出す会社が最も良いとは限りません。
ハウスメーカーや工務店によって違うのは、見積価格だけではりません。同じ要望を伝えても、間取りやプランは各社で違います。
金額だけでなく、見積もりの中身もしっかり比較し、最も良い家を建ててくれる依頼先を探してください。
予算通りに家を建てるには
予算通りの注文住宅を建てるためには、しっかりとした計画が大切です。
住宅ローンの返済額や、自己資金などをきちんと把握し、無理なく順調に返済ができるように計画しましょう。
また、建物以外にどんな費用がかかるのかもはっきりさせておくこともかかせません。
諸費用の把握が甘いと、予算オーバーになりやすくなります。